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1948-49ウルグアイ選手組合ストライキ - W杯王者の内戦

   

20世紀前半のウルグアイといえば、代表チームが2回ワールドカップで優勝するなど繁栄期を謳歌していたイメージが強い。だが国内リーグにおいてはCAペニャロールの優勝回数論争、1年では収拾がつかずに長期化する優勝決定戦、プロ化とアマチュアリズムを巡ってのサッカー協会の分裂、そして本項で扱う選手の待遇改善を求めるストライキなど数年ごとに必ず大きなトラブルに見舞われていた。逆に言えば、それでも代表が常に好成績を残していたのは驚異的な事だ。

選手達が第一に求めたのは「契約の自由」であった。これは、当時ウルグアイよりも年俸などの待遇面で優るアルゼンチンや、移民の祖先が多くいるイタリアのセリエAへの国外移籍を希望する選手たちの増加を考えれば、無理もない事だった。現役寿命の短いサッカー選手にとって限られた時間で可能な限り多くの報酬を稼ぎ、セカンドキャリアに向けて貯蓄したいと考えるのはいつの時代も同じである。

「クラブが全ての権限を握っているのは不誠実だ。政府の介入を要望する」

「この状態を放置すれば、ウルグアイで最も人気のあるスポーツは死を迎える」

これが選手組合から出された訴えだが、創設者のバレラは次第にストライキとリーグ戦中断の長期化に精神を蝕まれ、ストライキの有効性にも懐疑的な見方をするようになっていった。

「こっちは真面目な事をやっているというのに、メディアは私のプライベートを暴いたり個人攻撃をしたりと、何も本質を書こうとしないんだから呆れたものだよ。ついにはクラブと妥協してプレーに戻る選手たちが現れた。私は組合と決別し、自分の道を歩むしかないとわかったのさ」

だが最終的にはクラブが選手組合の要求を受け入れ、国外移籍の自由を盛り込んだ契約内容に妥協した。バレラも選ばれていたウルグアイ代表も出場する、隣国ブラジルでの1950年FIFAワールドカップ開催が迫っていたからだ。国内サッカー界の早期安定化とリーグ戦の再開をしなければ、W杯で恥をかくことになると主張する大衆・メディアの圧力にクラブが屈した形となった。しかし国外移籍した選手がウルグアイに復帰する際は旧所属クラブに復帰しなければならないという形で、クラブの選手保有権は残った。報酬の上限額も撤廃されたが、しかしその金額の優先決定権も依然クラブ側が握っていた。

「デポルティーボ・フベントゥーに所属していた1930年代のことだが、クラブは私に何も言わずにモンテビデオ・ワンダラーズFCへ200ペソの移籍金で売却しようとしたんだ。まるで人間じゃなく、商品を売買するかのようにね」

バレラは1949年シーズン開始まで、家族の経営する農場で働いて糊口をしのいだ。子供のころから家計を助けるために働き、およそ教育と呼べるものは全て独学で吸収した彼にとっては、この孤独な闘争はこれまでの人生の延長に過ぎなかったのかもしれない。また彼はW杯直前まで、大統領府に代表選手たちの公務員並みのの雇用・住宅保証などサッカーに専念できる万全のバックアップ体制を求めた。

オブドゥリオ・バレラは一般的に、1950年のW杯で優勝したウルグアイ代表のキャプテンとして知られる。ただウルグアイのサッカーをよく知る人たちは、彼がピッチ外でもう一つの戦いを繰り広げた戦士であり勝者であることを知っているはずだ。選手組合が手にした自由は未だ小さな一歩だったが、しかし今日の世界基準に向けての確かな一歩であった。サッカー選手はサラリーマンとは違い、特定の雇用主に一生涯縛られず、より高額な報酬を得られるクラブへと常にに移籍を繰り返さなければならない職業だからである。

これは外国のサッカーファンやメディアが知らなかったウルグアイ人同士の階級闘争だ。1948-49選手組合ストライキを経て、ウルグアイのプロサッカー選手は自身の保有権の25%を手にした状態でクラブと年俸交渉が出来るようになり、そして自分の評価に見合った報酬や海外からのオファーを選択できる権利を獲得した。

いまどき、ウルグアイを含む南米の多くのクラブは自分達が「輸出業者」である事を理解している。しかしそこには売られる側の選手の自由意思、FIFAの規則と国の法律に基づいたルールが前提になければならない。ウルグアイからブラジル・アルゼンチンなど周辺の大国へ、そしてヨーロッパへ巨万の富を欲して毎年のように移籍していく選手たち。彼らが「選択の自由」を持つ現代サッカー界の土台には、1950年のマラカナンで2度目の世界チャンピオンとなった男たちの知られざる闘争がある。

ニュースソース

  : "Uruguay: La huelga de 1949, un hito para el futbolista como trabajador"

 

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